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[商標] [ELLEが韓国でホテル事業を展開……?]

2025-03-12 hit.9
　ラガルデール・グループ（Lagardere Group）は1945年にフランスで創業され、世界的なファッション雑誌「ELLE」の出版等を軸に事業展開する企業として知られています。扱う製品はアパレル、バッグ、靴、化粧品、メガネ、家具、キッチン用品、文具類、時計、玩具などの多種多様で、ほか広告、金融、通信、芸能、出版、放送、飲食業などのサービス業でも「ELLE」ブランドを商標登録して使用してきました。その結果、「ELLE」は世界的に広く知られる有名ブランドとなりました。

　同グループは、その「ELLE」を付した「ELLE INN」というホテルが韓国内で営業中であることを確認、早速、法的な対応に入ります。コロナが明ける前の時期です。
　宿泊客はこのホテルをあの「ELLE」ブランドのホテルと勘違いする可能性が高く、もしそうなると「ELLE」ブランドの名声と認知度が弱まるおそれがあると判断しました。このため同グループは、当該ホテルに対して民事訴訟（不正競争行為禁止請求）及び刑事告訴（不正競争防止法違反）に踏み切りました。

　これらの訴訟に当所訴訟グループの弁護士も同グループの訴訟代理人としてタッグを組み、内外の資料の徹底的な分析等、「ELLE」ブランドが世界的に非常に有名なブランド（周知・著名な標章）であることの立証に重点を置いて対応しました。また、国際的に有名なファッションブランドがホテル事業を展開するケースを提示し、相手方が「ELLE」ブランドの信頼と名声を利用しようとしたことを強調しました。詳細は割愛しますが、これら各種対応により相手方のホテル名から「ELLE」を外し名称を変更することで最終的に和解に持ち込むことができました。

　この事例では、特定の商品（雑誌、アパレル等）ではなく、他の業種（例：ホテル業）でも有名なブランドを保護できることを示しています。もし使用中のブランドが非常に有名で、他の業種でも消費者に混同を生じさせる可能性があるなら、商標法だけでなく不正競争防止法に基づいてもブランドの保護を主張して効果的に対応することができます。