特許審査手続きの改善案内(意見書提出期間の延長及び分割出願審査猶予) 2025-08-05 hit.26 |
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特許及び実用新案の改正法令が2025年7月11日施行されました。 これより審査制度がグローバル基準により近づき、日本国等から出願等を行う在外者にとっても利便性が大幅に増してます。特に今回の改正は、技術の商用化の時期と戦略的特許確保のタイミングを調整しようとする企業にとって使い勝手がよくなっています。以下で見ていきましょう。 1. OAに対する応答期間が拡大「2か月 → 4か月」 【従前法の問題点】従前2か月だった意見提出通知書(拒絶理由通知書)の応答期間は、米国(3か月)、日本(3か月)、欧州(4か月)、中国(4か月)等、他の主要国に比べて短く、出願人が繰り返し延長申請をする煩雑さと手数料負担が発生していました。 【改正内容】OAへの応答期間が従前の2か月から4か月に拡大したことにより、出願人の準備時間の確保と手続き的負担が軽減されました。 【期待される効果】十分な技術検討を通じて高品質の特許を確保することが可能になります。 【参考事項】速やかに審査されることを希望する場合、OA応答(意見書・補正書)提出時に「期間短縮申請書」を一緒に提出すると、その提出日が当該応答期限としてみなされ、その短縮された期間分だけ審査時期が早まります。 2. 分割出願も「審査猶予」の対象に認定 韓国では「特許審査猶予申請制度」という審査を先延ばしにしてもらう制度が2008年から存在する。通称「遅い審査」。 【従前の問題】通信、製薬、バイオなどの商用化を進めるのに時間のかかる技術分野では戦略的に「遅い審査」を活用しようとする需要が増加していたにもかかわらず、従来は分割出願に対してその制度申請ができませんでした。 【改正内容】分割出願でも審査猶予申請が可能となりました。 【期待される効果】出願人が商用化のスケジュールに合わせて特許審査の時点を調整することができるようになります。 2-1.審査猶予制度(遅い審査)の概要 【申請対象】審査請求日から9か月以内に申請が可能です。 ※ただし、分離出願、変更出願、無権利者に対する出願及び優先審査決定が下された場合は申請ができません。 【猶予可能期間】審査請求日から2年経過時点~出願日から5年以内の範囲内(実用新案は3年以内)で出願人の指定した希望時点を選択可能です。 【審査請求料の納付】猶予申請時、猶予希望時点の2か月前まで納付を延期することができます。 【審査開始時点】出願人が指定した猶予希望時点から12か月以内に最初の審査結果(意見提出通知書)が発付されます。 【変更の可・不可】猶予申請後2か月以内は、申請の取り下げまたは猶予希望の時点を変更可能です。 ※優先審査を申請した場合において必要な場合、いつでも優先審査に切り替え可能です。この場合、猶予申請はみなし取り下げとなります。 【活用ガイド】審査猶予制度と優先審査制度を並行活用することで、技術公開、製品の上市、投資誘致など事業計画のマイルストーンに合わせた知財権確保戦略の確立が可能で、これにより出願人は事業化日程と連携させた戦略的な特許の確保が可能になります。 【了】 |