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行政組織改編で特許庁が知識財産処(MOIP)に昇格 その背景と主な変化 2025-11-21 hit.22 |
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2025年10月1日に韓国で政府組織法の改正が施行され、従前の特許庁が国務総理(日本での内閣首相に相当)直属の「知識財産処(Ministry of Intellectual Property)に昇格しました。 韓国の政府組織法によると、中央行政機関(国の行政機関)は、部、処、庁、及び各種の委員会、等からなります。「部」が日本の省(大臣級)に当たるもので「長官級」と呼ばれ、処は、部(長官級)と庁(次官級)の間の位置づけの行政機関ですが、序列上は次官級です。ただし、従前の特許庁が産業資源部(日本の経産省に相当)の下に置かれていたのに対して、知識財産処処長は国務総理直属となり国務会議(閣議に相当)に出席するよう定められており他の長官と同格となるため、今回、「昇格」と報道されています。 このように重要な政府組織が庁から処に昇格することは稀に見られます。例えば最近の例では「食品医薬品安全庁→食品医薬品安全処」(2013年)があります。 さて、今回の特許庁の知識財産処への「昇格」には以下のような背景があるようです。 1. 知識財産処への昇格の背景 (1) 知識財産権の産業・経済的重要性の拡大 世界的な技術覇権競争の激化から、従前の発明・出願に限定されることなく、IPの創出・活用・取引・執行全般が、企業競争力のコア的要素であるとする位置づけを明確にする必要性、そしてR&Dの成果を市場化・収益化するために、知識財産政策を国家産業革新戦略の中心に据えるべきであるという必要性が高まりを見せてきている現状を鑑みた。 (2) 各政府組織に散らばっていた業務の統合とコントロールタワーの構築 これまで知識財産業務は産業資源部、文化体育観光部(文科省に相当)、農林畜産食品部(農水省に相当)など様々な国の組織に分散され、調整と執行の非効率が指摘されてきたが、この解決のため特許庁を国務総理所属として昇格させ、IP政策の総括・調整機能を強化した。 (3) 多様な形態の知識財産を統合管理する必要性 特許、デザイン、商標のみならず、著作権、営業秘密、技術取引、紛争対応などIP分野はその裾野が広がり、一機関を中心とした既存体系には限界が生じた。そのため知識財産処設立目的に「多様な知識財産の統合管理と 未来産業革新の基盤構築」を掲げた。 (4) 政策推進の触発要因 李在明(イ・ジェミョン)大統領は2025年8月22日の国家科学技術顧問会議で、「特許庁を知識財産処に昇格させ、特許及び技術取引市場を活性化する」と述べたことから、今回の政府組織改編を水面上に浮上、その後、議論が本格化し、実際に発足につながった。 2. 昇格後の主な変化 (1) 組織の位置づけと政策権限の強化 特許庁が「処」に昇格し、国務総理所属の国の行政機関に再編された。 これにより、IP政策の提案権、調整権、各省庁など政府組織間との協業機能が強化され、国レベルのIP戦略をより一貫して推進できる構造が設けられることになった。 (2) 組織機能の拡張と専門化 国レベルのIP紛争対応を専門とする「知識財産紛争対応局」が新設された。 IPの創出・活用・取引・事業化を専従する部署が強化され、権利取得後のビジネス化までの全サイクルの管理が可能となった。 (3) 企業及び中小企業の実務への影響 企業は単純な出願・登録にとどまらず、戦略的ポートフォリオの構築、FTO分析、技術取引、ライセンス、グローバルIP戦略など複合的対応が必須化されています。 これにより、弁理士およびIPコンサルティングの分野の役割も拡大する見通し。 特に中小企業は、知識財産処体制の下、紛争対応・技術保護・海外出願支援政策をより体系的に活用する機会が拡大する見通し。 以上の通り、知識財産処の発足は、韓国の知識財産政策を単純な「権利行政」から抜け出して、国レベルで戦略資産(IP)管理体系に発展させる重要な変化です。 特許法人Y.S. CHANGは今後も国内外のお客様の技術・ブランドが韓国のみならず、世界市場で安定的に保護・活用がなされように、変化した制度環境に合わせた専門的で総合的なIPサービスを提供いたします。【YSC】 |