許可(薬事承認)等に基づく特許権の存続期間延長制度が変わります 2025-04-07 hit.13 |
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【特許】許可(薬事承認)等に基づく特許権の存続期間延長制度が変わります 2025年1月21日、許可(日本での薬事承認)等による特許権の存続期間延長制度(PTE:Patent Term Extension)に関する特許法改正案が公布されました。今回の改正特許法は2025年7月22日(公布後6か月)から施行され、施行日当日又はその後に許可を受けた医薬品に対する特許権存続期間延長登録出願から適用されます。以下、内容です。 1. 主な改正内容 現行の韓国特許法第89条は、医薬品等のように特許発明を実施するために許可等が必要な場合、当該許可までに実施できなかった期間を考慮して最大5年の範囲内で特許権の存続期間延長を1度だけ認めるよう定められています。 現行法上では「最大5年」まで延長可能という点以外に延長の上限が別途なく、一の許可が複数の特許に紐づいているものについては、各特許ごとに延長が可能になっています。 これが改正法では、一の許可に対して一の特許のみ延長可能とし、延長される特許期間にも上限が設けられ、特許延長期間は医薬品の許可日から14年を超えることができなくなります。この要件に適合しない延長登録出願は拒絶決定(日本での拒絶査定)となります 2. 米国、欧州、日本の制度との比較
韓国の既存の存続期間延長制度は日本と同じように運営されてきましたが、今回の改正により米国、欧州の形態に転換します。 3. 示唆点 今改正により、新薬オリジネーターの独占的地位が一部弱まることが予想されます。その一方で韓国国内のジェネリックメーカーの早期市場参入の可能性が高まり、市場競争が一層激しくなる見通しです。 新薬オリジネーターは、延長対象としてどの特許を選択するかを決定する際、侵害訴訟の際に自社優位の可能性が高い特許、競合他社の回避設計の可能性が低いクレームを含む特許などを優先的に選別して延長対象に指定するなど、戦略的状況や要件などを考慮して慎重に決定することになることでしょう。かつ、ジェネリックメーカーを牽制するために、PTEのほかにもデータ独占権、競争製品に対する医薬的優越性の立証による再評価戦略、後続特許の確保など、複合的な特許+規制対応戦略が必要となります。【了】 |